とある神官の話




 それは小さな石に見えた。

 が、その石は空中で弾けた。ただ弾けたのではない。夕方の薄暗い道を、真昼間のごとく明るくさせたのである。私は眩しくて目を閉じ、手を翳してその光から守る。




 悲鳴。




 それは多分、数秒間だったか。強く目を閉じていた私の耳に「シエナさん!」という声が届いた。ああ、ランジットだ。

 ゆっくり目を空けると、息を切らしたランジットが駆け寄ってくるところだった。大丈夫か? という声に私は曖昧に頷く。
 大丈夫であるが、疲れた。そう言いたかったが、言う力もなかった。
 ランジットが私の安全を確認するようにあちこち見ている。あたりは夕方に戻り、影もいなくなっていた。そしと同じ場所にミイラ男が立っている「やあ」





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