とある神官の話


「む、村の様子が……人が急に意識を失って」

「おいおい。じゃあんた」




 意識を無理矢理保つために、腕を切り裂いたようだ。少々疲れました、といったきり彼は意識を失った。―――――まずい。
 ランジットは神官を背負う。そして再び村へと向かう。嫌な感じだ。感じる何かが重い。そう漏らした私に「ミノアといい厄介だな」とランジットが発した。



「まじかよ」



 雪が降り積もった村の全体に、赤い術。村は小さいとはいえ、"村"なのだ。普通のサイズではない。何重にも術が描かれている。
 村との間にはまた術がされている。触れた指先を体ごと弾き返した。ランジットが大丈夫か?と言う言葉に無言で「見ろ」と目の前に見えるそれを示した。

 熊のような影。引きずられるようにぐったりとしたムブラスキ神官。だが、もう一人いる。誰だ?




「強引に破ります」




 ―――お前の力は万能万能とも言えよう。だがな、万能だなんてありえないんだ。



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