とある神官の話







「ランジット」

「お、来たか」




 ここは、セオドラ・ヒューズの部屋である。シンプルな部屋には沢山の本が綺麗に並べられている。
 ヒューズの部屋といっても、本当に住んでいたのは神官に提供されている場所だ。ここは彼が個人的に借りていたものである。

 そこを調べろと言ったのは、ミスラだった。


「いいか?あいつの部屋を調べろ」

「部屋?」

「別に借りている部屋だ。本当はヘーニルに行かせるべきかと考えてたんだがな。あいつは今使えない」




 ミスラ・フォンエルズ枢機卿がキースに命じられてすぐに来たわけだが。先にランジットが向かっていりとは聞いていた。キースは整理されている部屋を眺める。



 普段使わないからか、簡易的なベッドや机があるくらいだ。



「ここだ」



 ランジットか見てくれ、と言った先は本棚。だが、とキースは眉を潜めた。それは確かに本棚なのだが。
 ドアに術をかかっていたのはランジットの仕業だが、これは明らかにヒューズだろう。強い術がかけられていた。ランジットが触れようとすると、ばしんと音をたてつ弾く。
 本棚が波打つ。それにキースは「少し下がれ」とランジットを下がらせる。




「"我が名はキース・ブランシェ。真の姿を晒せ"」




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