とある神官の話
「誰の字だ?」
「……わからない。だが、これを」
最後に残っているページ。まだ続きがあったのだろうが、それにはそれしかない。ランジットが「こりゃかなり古いんじゃ……」と。
そこにあった文字は、何処かで見たことがあった。キースは思いだそうとする。どこで見た?
――――それは。
――――ああこれですか?
「ハイネンはノーリッシュブルグ、か。仕方ない」
「ちょ、おいお前どこに」
手記を片手にドアを通り過ぎる。慌てたランジットがキースの後ろを追い掛ける。外は吹雪となっていた「この文字」
そうだ。
キースは前に、ハイネンが似たような字を書いていたことを思い出す。古い文字ですよ、と確かハイネンは答えた。――――なら。
「ランジット。一旦戻るぞ」
吹雪で視界が不安定な中、キースは鋭い声をあげる。
その後ろをランジットが追い掛ける。