とある神官の話
「"使える"奴が欲しいのだよ。ただでさえ今のハゲ共は無能が多い」
「では、誰が選ばれると?」
それを聞くのか?と言うミスラが笑う。考えられるのは、やはり"あの"ヨウカハイネンか、ジャンネスか。前者は候補にいつもあがるが一蹴する。「誰が身動きとりにくい枢機卿になるかばーか」とかなんとか言うし、後者はすでに年配で「私なんかは下のほうが楽……じゃなくて合ってるんですよ」とか。
高位神官から選ばれることが多い。ひそかにゼノンの名前もあるが、彼は絶対断るだろう。
出世など気にせずにいるのは、やはり変わり者なのだ。
「舞台は整えるつもりだ」
どういう、とキースは聞こうとしたが、己を呼ぶ声にそれは叶わず。
背を向けて歩いていくミスラを、キースは見送るしかなかった。
* * *
温かな料理の匂い。台所では大きな鍋ににんじん、じゃがいも、肉、と入っているのがわかる。この時期なら作ることも多いシチューだった。
女は腹を空かしていたことにようやく気がつく。食器棚を物色し、手にとる。そしてシチューを入れ、テーブルへ。女の口には笑み。
スプーンで一口。おいしい、と女は安堵。だが続いたのはまるて子供のように貪っていく。口におさまり切れないシチューが顎に落ちていくが、女は気にしない。満足感。腹が満たされたことにより、一杯の水を。そこで物音。