とある神官の話
「本当に化けますよね……」
そう私が呟いたことに、隣にいたレスティが頷いた。
祭日まであと一日に迫ったこともあって、いつになく賑わう街は、ただ観光に来ていたならば楽しめたかも知れない。大きな木に飾り付けをされていたり、キャンドルの光は幻想的で美しい。
――――問題があった。
本来ならばミスラ・フォンエルズ枢機卿が祭事を行うはずが、今枢機卿は聖都にいる。なら、誰かが変わりをやらなくてはならないということとなる。
そしてその役を、ハイネンが引き受けたのだ。
元々美形である彼だが、正装をした姿はどこをどう見ても美丈夫にしか見えない。その一見黒髪に見えるその髪も、よくよく見れば青みがかっており、何だか絵画にでも描かれそうだった。が!「うっふふふふ」
「いやあ久しぶりに着ましたよコレ。着方を忘れるところでした」
喋らせたら全部台なし。ラッセルが「お前さ、本っ当いろいろと損してるよな」と突っ込むが、本人はけろっと「羨ましいでしょう」というからもう何も言わない。
本当はアゼルが、という案も出ていたのだが、やはりまだ女性は表舞台には立ちにくい。指導を受け持ったアゼルは容赦なくあれこれ言っているのを、私はあたたかい目で見ていた。そういえば先輩は、ちょっと変わってたよなとか思いながら。