とある神官の話




 祭日一日目は、難無く終わった。


 いうことがあるとしたら、街で起きた殺人くらい。祭日だというのに暗い事件が起き、いくらかは人が少なく感じたとレスティが話していた。一家団欒で過ごすはずの祭日が、暗く影を落とす。

 禁書の件で捕らえられた人もどうやら多いらしい。
 ハイネンやアゼル、ゼノンが建物内に術をかけているため、リリエフは侵入できないという。が、不安は拭いきれない。

 問題は―――――そう。





「三日目ですね」





 そう。三日目だ。
 三日目は最終日となる。緊張感の漂う感じは、精神的に疲労していく。
 正装からラフな格好となったゼノンがソファーに腰掛けて、そう口に出した。同じく向かいのソファーに座るハイネンはええ、と頷く。

 二人の顔にはやはり疲労が漂う中、コーヒーカップを手にしたラッセル。




「今のところ、街であった殺人くらいで済んでるな」




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