とある神官の話




「"次はお前だ"」

「!」

「あの阿婆擦れだろう。だが他のとそれはちょっと違う気がすると、レスティが話していた」




 もしかしたらばらまかれた禁書を使った者がいるかも知れない。アゼルは続ける「いいかい」



「あの女は、お前の前に姿を見せる可能性がある。ここの建物には入れないだろうから、ここから出ないようにってね」

「わかりました」

「大丈夫だと思うけど」




 私もいるしね、と笑ってみせたアゼルに私も頷く。再び持ち場へ戻っていったアゼルに、私は目を伏せる。
 私を狙うなら、ここにいないほうがいいのではないかとも思う。だが、私一人で何になるというのか。思い上がるな。

 まだ昼前だ。
 外を見れば雪がちらつき、寒さを運ぶ。厚着をしているが、足先や指先から冷えていく―――――。





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