とある神官の話
「……ふむ」
足を優雅に組みながら、手にはキースが見つけた手記。それは見た感じだけでも痛みがあり、かつ古いものだということがわかるだろう。――――何故。
何故これがここにあるのか。
ヒューズが持っていた、それ。彼は何か掴んだのか。掴んでいたのなら……。いや、それはないか。知るはずかない。彼は人間だから。知っていたはずのものの、多くは殺されたのだから。
しかしどうすればいいのか。
この手記は、読めない部分のほうが多い。破ったような形跡もある。これでは何が何なのかわからない。ただ―――――。
「まだ形として残ってたんですね」
懐かしさと、寂しさ。
それは複雑に入り混じって思い出される。
―――はああ言ったが、やはり私は納得出来ない。あれで本当に終わるのか?
葛藤。上からの命令。
信じていた。そう、信じていたのだ。私も、彼――――アガレスも。
あれから約二十年。私から見ればさほどな時間ではない。けれど、置いていかれることには変わりはない。同族の数は人間より少なく、またユキトのような前向きな性格でもない。
厄介な種族なのだ。我等は。
ため息。