とある神官の話
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――――我等の糧となれ。
選ばれた子なんだよ。選ばれた?そう、君が見せてくれたその力は、特別な力なんだ。
この力のせいで、死んだのに。
この力のせいで、私はまた。
ああ、あれは幼い頃の私。
親なのかどうかわからない、男女の姿。私は黒髪なのに、その男女はどちらも黒髪ではなかった。金髪。男は明るい茶髪であるけれど、その二人から私が生まれるとは考えられなかった。それに――――私はきっと、ここにいては駄目だとわかっていた。
怒鳴る声と、気違いじみた笑みを浮かべる女。男がいなくなった。私と、女だけ。女は私に言う。貴女、可哀相ね。
可哀相。私は口の中でそういってみる。可哀相。わからない。痣だらけでも、誰も私を見ない。名前すらない。ない。無いものばかり。
欲しかった。
欲しかった。
たまらなく、私が。
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