とある神官の話





 紅茶を手渡すジャンネスが、柔らかい笑みを浮かべた。「あの人が噂の」と言ったので、私は苦笑する。
 この歳で高位神官――尤も高位神官でも細かい位があるのだが――となるのは珍しい、いわばエリート街道である。それを自覚していないわけでもない。そんな自分はいろんな意味で有名であることもわかっている。

 だから、口止めをした。

 まだ"神官"であるシエナに迷惑がかからないように。野次馬めいた輩が集まるのは目に見えた。
 そんな表にしか興味ない者と誰が友人や知り合いになりたいと思うか。







「あまりしつこいことは禁物ですよ?」

「押して押して押して押しまくれとよく言いません?」

「……どこの情報ですか?それは」





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