とある神官の話
思わず顔を覆った私に、ジャンネスが大丈夫ですか、と声をかけてきた。それに「大丈夫、です」と返す。
これ程破壊力があるのか。
好きだと言ってしまえたら、楽になるか。否。そう言ったとたん、今の現状なら彼女は逃げるだろう。それは少々、困る。物事には順序や段階というものがあるのだ。地道に来て、最近は警戒心こそあるものの、エルドレイスさんと呼ばれるまでになったのだ。これは進歩だろう。
「……午後の日程、何かありました?」
「その右にある書類は出来れば今日中に、それから見習い神官の小講義の依頼が来ていますが」
「よし」
まず仕事を片付けてしまおうか。今ならば倍の仕事が出来る気がした。
席について書類の山と戦いながら、にやけそうになる顔を引き締める。
包みは、最後にしよう。そう決めて書類の山を片付けにかかる。
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