とある神官の話








「カイム、逸れないでね」

「うん!」






 しばらく出歩けなかったということもあってか、カイムは凄く嬉しそうな顔をした。


 本当はリースも連れて行きたかったが、さすがに彼女は難しい。再びダナ・フィルタから狙われる可能性がある。私は繋いでいる手を意識する。



 リースを元気づけようと、おいしいケーキを作りたいといったのはカイムや、ジョゼッタ達である。
 今頃孤児院ではブエナとともにケーキ作りをしているだろう。小さなパーティーでもしようか、というブエナに頷き、お菓子を買ってくるという役目を担った。それにカイムが「行きたい!」と訴えて、今に至る。



 本当ならばあまり出歩くのは控えたほうがいい。つい最近も闇術を使用した痕跡が見つかったのだ。






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