とある神官の話
「能力者の名前がだいたい目星がついて、現在行方を追っているようですよ」
「愉快犯なんだろうか」
「……わかりません。女の子ばかりなのと、何か関係がありそうですがね」
「シエナも気をつけなよ。最近は別に神官を狙うやつもいるみたいだからね」
紅茶を一口飲み、わかってますと返す。
神官は魔物と戦うし、能力者とも戦う場合がある。命を落とす者もいるのだ。そして何かと狙われる。
神から授かった力。特殊能力のことをそう言うが、私自身、心から信じてはいない。神官として魔物を倒す立場でいるが、神はそんなに人へ慈愛に満ちた存在なのか、と。それほど酷い場面を見たことがある者ならば、そう思ってしまうのではないか。
少し、心細い。
「さて、子供たちを待たせるとあれだから、頼むよ」
「ええ」
待ちきれずに玄関から「シエナお姉ちゃん!まだあ?」という声がして、ブエナと私は思わず笑ってしまった。
そして、私は立ち上がり子供たちの元へ行く。胸に少し、暗い色を残したまま。
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