とある神官の話
最近子供が狙われている事件から、シエナも身を案じ、カイムに術がかけられたアクセサリーを預けていた。その"事件"に巻き込まれたというなら?
嫌な予感する。
聖都の中央に位置する宮殿。美しい彫刻の中を過ぎ、門の奥へ入る。
何人かの神官とすれ違い、目的の人物へ会うために「失礼します」と部屋に入った。
「おー、来たか」
「あ、この前の!」
椅子に座る小柄な少年と、その近くにいたロマノフ局長がこちらを見て声を出す。
「お前に連絡したほうがいいと思ってな」
それは、"彼女"が絡んでいるのもあるのだろう。ロマノフ局長なりの気遣いか。
久しぶりです、とカイムに声をかけると、その手に握られたアクセサリーに苦い思いになる。もし何かあったら、と逸る気持ちを抑え「どうなっていますか?」と聞いた。
今探させているという言葉と、一枚の紙。傍にカイムの不安げな顔がこちらに向けられるのを感じながら目を滑らせた。そして、まさか、と思った。
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