とある神官の話





「お兄ちゃん、シエナお姉ちゃんは」

「大丈夫ですよ」






 頭を撫でて、目線を合わせるようにしゃがみ込む。カイムはぎゅうっとシエナのアクセサリーを握っていた。


 大丈夫。


 それは自分にもいい聞かせるように、繰り返した。








 カイムから預かったアクセサリーを手に、私はジャンネスの元へきていた。


 彼、エドガー・ジャンネスは高位神官である。若い頃は剣術もかなりの腕だったらしいが、今は基本中央勤めをしている。そして彼は神官の中でも"能力持ち"であり、その能力もまた珍しいものだ。
 ジャンネスの能力は、残された物、またはその人が見た光景を見ることが出来る。そして持ち主の所在などもわかる場合がある。もっともそれは、はっきりと見える時もあれば逆のこともあり、効果は左右する。が、やってみなくては始まらない。






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