とある神官の話




『――――実にいいではないか。喧嘩?言い争い?上等だ』







 何がだ!キースは電話の向こう、ノーリッシュブルグにいる枢機卿に、頼むから大人しくしてくれと言いたい。胃痛が復活したらしく、キースは腹部に手を添える。

 何があったんです、と一応聞いた。








『何か企んでいるというなら、暴いてやろうではないか』

「あの、フォンエルズ枢機卿……?」








 話し聞けよ。
 そう思う中、電話越しに『枢機卿!引きこもらないでください!』と扉を叩くような音が聞こえた。うわあ何やってんのこの人。

 枢機卿ー!と悲痛な声に、同情する―――そんな時だ。ノック音がしたのは。ラッセルが俺が出る、と合図して立ち上がったが意味はなかった。ブランシェ枢機卿のもとにに堂々入ってくるのは限られた人物しかいない。
 金髪の女性……密かにキースが想い慕っているアゼル・クロフォードである。

 ぎょっとして見ていると、ギロリと睨まれた。かなり不機嫌。不機嫌を通り越して鬼に見える。電話越しに「あのちょっと待って下さい」と断ってからアゼルへ顔を向けた。






「どうしたんです」

「―――んだ」






 はあ!?とラッセルの声と、キース自身もアゼルが言った言葉に驚く。







「シエナの家が荒らされたんだ」






  * * *




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