とある神官の話








「お前絶対詐欺だ」

「口を動かす前に働いて下さい局長」






 宮殿を進み、とある局に入ったゼノンは入ってきて早々、局長であるロマノフに「ついにお酒が頭にまで回りましたか」などと毒舌をはいた。

 無論、それはいつものことなのでほかの神官は無視と見なかったことにして顔を逸らした。

 彼はその若さで高位神官であるのと同時に、その美貌で有名なのだ。一瞬見ると性別不詳。だがやはり性別は男で、すらりとした身長もまた目をひく。







「ヒューズさんに泣きつかれましたので来たんですよ」

「おいおい。俺はちゃんと」

「ならその山は何です?記憶によればそれ、昨日からありますよね」

「いや、それはいろいろと理由が」






 局長の目が泳ぐ。

 ロマノフもまた神官である。実力がある者なのだが、サボる。とにかくサボる。

 副局長となっているヒューズが毎回「エルドレイスさん、私を助けて下さい」と死にそうな顔をして訴えるのだ。ゼノンもまたそサボるロマノフを知っている故に、こうして机の前で笑顔で立っている。





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