とある神官の話


* * *









 ジャンネスが不在の部屋に、一人。しばらくは書類と戦わなければならないかと溜息。


 ダナ・フィルタか起こした事件は解決に向かい、本人も些か精神的な問題こそあるものの、ちゃんと話しているという。

 犠牲となった子供は、身寄りがないものばかり。だがブエナが親がわりとなり、埋葬された。私は行けなかったが、かわりにランジットに行かせた。ランジットの話しだと、私服―――といっても黒に見を包んだシエナが長いこと祈りを捧げていたという。






「嫌な事件ばかりだ」






 ダナ・フィルタは捕まったものの、協力者は逃げ現在も行方を追っている。
 事件は凶悪化し、いとも簡単に人は死ぬ。禁忌とされれば興味本位で触れる。人は脆い。

 扉が開き、「ほらよ」と横にカップ。黒い液体が揺れた。






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