とある神官の話
列車に揺られついたのは、ミノア。海に面した町である。
初めてくる訳ではないが、かといってそれ程詳しくはない。ゆえに道案内等は全てランジットに任せた。
ブランシェ枢機卿が「ランジットに任せておけば何とかなる」等と言っていたのでその通りにしている。
―――のだが。
「んなもんあるわけねぇいってんだべや」
「んだどもよ、俺ら見たんだって本当に!ありゃ化け物だって」
「化け物?」
「んだんだ!あいつら、変な力使うんよ!」
港へと来て、目撃者という漁師たちに話しを聞いている。
ランジットが「父さんたちさ、それ見間違いじゃねえのが?」と訛って話しているのを初めて見た。いや、初めてではない、か。前にもちらっと見たことがあるが僅かで、間近て見るとこう、何だか懐かしい。