お姫様は王子様を演じてる
「……ゴキブリがいたと言ったよな?」
「うっ、うん…」
「こんな朝から?」
「…うん」
「ゴキブリは昼間活動が鈍るはずだがな…
上野…それより何故シャツを着てるんだ?」
兵藤の視線はごまかしようがないくらいに真っ直ぐに私を捉えている。
「何でって着替えろって言ってたじゃないですか…」
「ああ、確かにな。
だが貴様は渋っていただろう…
それに、大きな声を出すくらいゴキブリに驚いていたのに何故すぐに服を着ることが出来た?
まるでタイミングを見計らっていたかのように…」
バクバクと心臓が鳴り、気持ちばかりが焦ってうまい言い訳が浮かんでこない。
黙っていたら、兵藤が言ったことを肯定することになる…
何でも言いから何か言わなくちゃ…