お姫様は王子様を演じてる



…―――何も言い訳が浮かばない、そう思った時…静かにドアが開く音がして。



「……朝からうるせぇ、何やってんだよ……?」



独特の低音の声が後ろから聞こえた…



……振り向くと、扉に寄り掛かりながら私達を見る澪が立っている。



「上野の様子がおかしくてな…嘘までついてごまかすほど着替えを見られたくないらしい」



兵藤は既に私が『ゴキブリがいた』と言ったのは嘘だと断定したらしい。



このタイミングで澪が来ることによって状況は悪化の一途を辿るとしか考えられない。



だって澪は私が憎くて仕方ないんだから…



次にどんな言葉が飛び出すんだろうと考えるだけで私の心臓まで口から飛び出そう…



澪は怠惰な動きで、綺麗な黒髪をくしゃりとやると形のいい唇をゆっくりと開けた。



「ああ…コイツ、胸にでけぇ傷があるんだよ。
人に見られて気持ちいいもんじゃねーからだろ」



えっ、傷!?
そんなのまったくないですが…
澪は、もしかしてこの状況から助けようとしてくれてる?


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