お姫様は王子様を演じてる
「そうなのか…?」
兵藤は澪の言葉に驚いたように目を見開くと、動揺を隠せない様子で私を見る。
今は、澪が出してくれた助け舟に乗るしか状況を回避できる術がない。
「…はい、子供の頃に事故にあって。
あんまり…人には見られたくないんです」
私はしどろもどろになりながら兵藤に言った。
どんな事故で?とかじゃあ見せてみろ!なんて言われたらおしまいだけど…
「……そうか、それは悪いことをした。
何かあるとは思ったが…まさか傷とはな」
心底申し訳なさそうな顔をして眉を寄せる兵藤に私の中の良心がズキッと痛む。
「……出てけよ、兵藤。
コイツに話しがある」
澪は顎で外を指すと出ていくように兵藤に促す。
「上野…本当に済まなかった。
今後二度とこんなことはないと誓う」
兵藤は真剣な面持ちで私に謝ると、深く頭を下げてから部屋を出て行った。