お姫様は王子様を演じてる


「あのさ…澪、私あんまり小さい時の記憶がなくて…私達ってよく遊んだりしてたの…?」



恐る恐る私が聞くと、澪は眉間に皺を寄せ表情を険しくさせる。



けど…その瞳は、どこか悲しそうでもあって記憶の片隅を刺激されたような気がした。




…―――それは幼い頃の記憶。




泣きそうな顔で笑う男の子が記憶の中でフラッシュバックした。



気になってジ、と澪を見つめていると、澪はふいと私から顔を反らす。



「……ねえよ、親同士の付き合いで顔を合わせた程度の事はあるけどな。
そん時からお前は、気に喰わねぇ面してやがった…」


「そっ…か…」



記憶の中の男の子にはしっかりと澪の面影があった…黒いサラサラとした髪に潤んだ漆黒の瞳を揺らして私を見つめてる…



勘違いなのかな?
もしかしたら、自分の頭の中で記憶を書き換えてるのかもしれない。


母さんが亡くなる直前の記憶は私にとっては辛過ぎて心の奥深くに封印してしまってるものだから。


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