しあわせうさぎのおはなし


 真っ白な空間は、突き刺さるように静かでした。何も言葉が出てこないぼくと、何か言いたげな彼女はしばらくの間見つめ合っていました。ぐるぐるとした言葉が全部溶けてしまうと、先程までの憎しみにも似た気持ちが嘘のように、不思議と気持ちは落ち着いていました。そして、やっとわかりました。ぼくが本当にくーちゃんに伝えたかったのは……。
「くーちゃん、今までありがとう。大好きだよ」
 やっとのことで出てきた言葉は声がかすれてしまい、うまく伝わったかはわかりませんでした。
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