甘いケーキは恋の罠
「匠?」
澄んだ綺麗な声で匠さんの名を呼ぶ彼女は、その声に似つかわしい綺麗な女性だった。
細く長いしなやかな手足に、背中まである長く黒い艶やかな髪、片手で覆えてしまえそうな小さな顔はまるで人形のように整っていた。
「奇遇だね。あ!そーだ、今からウチに来ない??ちょうど新しい豆仕入れたから!」
――…豆っ!?
驚いている私をよそに2人の会話は進んでいく。
「今度はどんな豆なんだ?」
興味津々な匠さんはまるで私の存在を忘れているかのように目の前にいる綺麗な女性と談笑する。
「飲んでからのお楽しみー。」
いたずらっ子のような笑顔をした綺麗な女性は、匠さんの肩を突く。