甘いケーキは恋の罠
真っ赤になっているであろう顔を見られまいと、どうにかして顔を隠そうとする。
「耳……赤いですよ?どうかしましたか?」
なんだか、匠さんの手の平で踊らされている気分だった。
先程私を忘れたように会話をしていたのも、わざとだったのだろうか。
「あ…の……。」
何を言おうかしどろもどろしていると、助け船が入った。
「匠、困ってるじゃない。相変わらず好きな子をいじめて楽しい?」
「まぁね。」
――え…?ちょちょちょっ、好きな子って!まぁねって!!……えぇっ!!?
2人の会話に余計に頭が混乱してしまう。
言葉を発することもできなければ、動くこともできない。
ただ、心臓の音だけがやかましく鳴り響いていた。
そんな私をどう思ったのか、匠さんが声を出さずに肩で笑いだした。
私の背から振動が伝わってくる。