甘いケーキは恋の罠
その後何故だか喫茶店の席に着いており、コーヒーを啜っている。
味なんてもちろんほとんど分からなかったが、いい豆を使っているのだろうことは店や客の雰囲気で感じられた。
木を基調にした内装に、ジャズミュージックが流れる店内はとても静かだった。
「未来<ミク>、この豆分けて。旨い。」
どうやらあの美女は未来さんというようで、この店で働いているらしい。
「高くつくわよ~。」
下の名前で呼び合う2人の関係が知りたいが、友達でもましてや彼女でもない私が聞くのは可笑しいだろう。
ずっと黙って2人の様子を窺うが、一向に分かりそうにない。
むしろ、ますます混乱してしまう。
――彼氏が連れていた女をもてなしたりしないだろうし、友達にしては親密な気がする…。