甘いケーキは恋の罠
「相模さんのお兄様…の…。」
匠さんの事を知ることができ、嬉しい半面何故だか釈然としなかった。
よく分からないもやもやした感情を何とかして押し留める。
「はい。あ、新井さん今日まだ時間大丈夫ですか?」
ふと時計を見ると午後6時をまわっていた。
特にこれといった予定はなかったので二つ返事で応えた。
「はい。今日は何も用事がないので大丈夫です。」
すると匠さんは微笑む。
「良かった。実は、今度のコンクール用のケーキを試食してもらいたくて。」
「いただきます!」
ケーキという言葉に思わず即答してしまい、少し恥ずかしくなる。
「匠〜、私の分は〜?」
未来さんが拗ねたように言う。
美人はどんな表情でも様になるのだと改めて思う。
「あ〜、はいはい。そのうちね」
そう言う匠さんに何故だか違和感を覚えた。