佳人な先生
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 安里 匡 視点
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「・・・ある日。
 僕は知人への贈り物の花を
 買いに行くために
 ある人と直接花屋で
 待ち合わせをしていたんだ。

 そしてその店に
 向かうべく歩いていたら
 急に後ろのほうから
 腕を捕まれて
 僕の目の前にある女性が
 飛び込んできた。

 そして人違いでしたと
 謝られた。

 それから
 待ち合わせの店に
 行ってみると
 その女性は
 そこの店員さんだった。

 その女性は
 仕事とは言え
 とても一生懸命なのが
 伝わってきた。

 あとで知った話しだけど
 僕たちが注文した
 品物のために
 夜遅くまで
 材料を探してくれて・・
 それでも見つからず
 朝早くからも
 探してやっとみつけて
 完成させてくれていた。

 僕が取りに行った時には
 奥で眠ってたっけ・・・。」


そう話した芹沢さんは

優しく微笑んでいた。


「僕はすでに
 その時にその女性に
 惹かれはじめていた。

 けど自分が犯した
 過ちを考えると
 自分だけ幸せになる
 ことなんてできなかった。 

 そしてふと思ったんだ。

 僕を見間違える可能性が
 ある人ってことは
 兄を知っている
 人じゃないかって。

 もしかして
 彼女は兄が話していた
 生徒じゃないかって。
 もしそうならば
 僕が彼女を守っていける。

 けど、兄は教師だ。
 兄を知る人はたくさんいる。
 兄の話していた生徒である
 確率のほうが
 とても低いはずだ・・とか。
 
 そうこう考えているうちに
 その日がやってきた。

 先生のお兄さまを訪ねて
 いらっしゃった方が
 今、病室に向かわれましたと
 受付から連絡が入ったんだ。

 僕は手紙を持って
 病室でその生徒を待った。

 兄の話す生徒が

 その女性であって
 欲しい気持ちと

 そうであって
 欲しくない気持ち。

 その葛藤の中、
 僕は待っていた。



 そして僕の前に

 星音ちゃんが
 現れたんだ・・・。」
 
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