不遜な蜜月

チャイムが鳴って、早足で玄関の鍵を開ける。


「退院おめでとう、って訳じゃないけど、ご飯買ってきた」

「ありがとう! これって、駅前のかすみ亭?」


渡された袋の中を覗くと、まだあったかいお弁当が入っていた。


「そ。真緒、食べたがってたでしょ? ちょうど空いてたから」


かすみ亭は、手作りのおかずの美味しさが評判で、一人暮らしの男性が良く訪れている。

彩子から聞いて食べてみたいと思っていたのだが、いつも混んでいて、機会を逃していた。


「私は鉄板の日替わり弁当。真緒のは女性にオススメの野菜たっぷりヘルシー弁当だから・・・・・・」


テーブルにお弁当を出そうとした彩子が、ノートや通帳を見て手を止める。


「真緒、どうしたの?」

「あ、うん。ちょっと確認作業をしようと思って」


確認作業に、求人情報誌はいらないはず。


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