野獣な執事とワンコお嬢様
こんな見た目だから、周りは騙される。



いつも笑ってて、穏やかで、自由で。



何を考えているのかわからないような人。



誰もがバカだと思うんだろうけど。



俺は知ってる。



この人は、小さな時から有栖川の後継者として努力をしていること。



責任の重さなんかも、きっと俺が考えてるよりもわかってる。



会社に着き、目指す先は社長室。



龍馬様が不在の今、ここにいるのは龍馬様の弟で。



「叔父さん、久しぶり~」

「ご無沙汰してます」



こっちに目を向け、ニコッと笑う。



彼は副社長。



「平日に悪かったね。元気そうじゃないか、龍蔵もヒョウも」

「雪乃と住んでるから毎日元気~」

「確か三条家の娘だったな。美人って噂はよく聞く」

「超美人だから。叔父さん、独身だからって誘惑しないでね?」

「さすがに20歳も歳下の女には興味がない。女は30過ぎがいちばん…って、それよりも仕事だったな」



そうだ、仕事しにきたんだ。



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