家元の寵愛≪壱≫
「ごめんなさい。………疑ったりして」
「いや、俺も悪かった。隠し事だらけで、実家に追いやったしな」
「えっ、じゃあ、やっぱり、今日の為に?」
「あぁ」
彼はハニカミながら髪を掻き乱した。
「仕事を理由に疎かに出来ないし、かと言ってゆのにバレるのはもっと嫌だったし。俺、かなり焦ってイラついて……。だから、俺が八つ当たりしないようにお義父さんに託したんだ」
「そうだったんですか。……私はてっきり離婚届けを突き付けられるかと冷や冷やでした」
「は?………それは絶対無い!」
隼斗さんは私の目を見つめて断言した。
そんな風に言われると、嬉しくて涙が止まらなくなっちゃうよ。
頬をつたう嬉し涙を口に含む彼に、
心の底から愛しさが込み上げてきた。
「信じていいんですよね?」
「当たり前だろ。挙式当日に離婚なんてありえねぇよ」
「フッ……それもそうですね」
「ご納得頂けたようなので、スウィートホームへ参りますよ?」
「はい、安全運転で」
「了~解」
ポンと頭を軽く叩いた彼は再びハンドルを握った。