Dearest

4・side of Samuell

お母さん…
お母さんどこ?


僕はここにいるよ。

ひとりぼっちで…









生まれたばかりの僕は空き家に捨てられていたらしい。


かなり衰弱していて、生死をさまよっていたと聞いた。



どうせなら死にたかった。




捨てられた子として見られるのが辛かったから。





「先生は僕のお母さんですか?」

「先生は先生よ」



孤児の僕はいつの間にかホワイトガーデンという施設に引き取られていた。



そんな僕は、施設の女の職員達にお母さんかと聞いて回るクセがついていた。




先生は“先生”であって、決して“母親”なんかではない。



そんな事わかっていたけど、やめられなかった。





僕は望まれなかった子ども。

それを認めたくなかった。
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