Dearest

1・義理の家族

ラヴは英語がままならないアキの為に、日本に住むことを決めた。



アキ達はハルが結婚し、ナツが就職し一人暮らしを始め、誰も住まなくなったアキの実家を新居とすることにしたのだった。



ラヴは日本でも俳優として働き、たまにイギリスに戻って今まで通りの仕事もこなしていた。



アキもラヴの負担にならないようにと、保育園でパートとして働いていた。




そんな何気ない幸せな日々が続くある日。




「ラヴ、ただいま!」



仕事を終え、アキが家に帰ると、何やらリビングから騒がしい声が聞こえてきた。




「ラヴ…?」



不審に思ったアキがリビングにいくと…




「おかえりなさい、アキ」

「…………」



アキの目には、ラヴの両膝に座るアシュリーとサミュエル、そしてラヴに寄っ掛かりながらテレビを観るレオンがいた。




「なっ…何この子たち」

「ああ、3人ともホワイトガーデンの子たちですよ。アキも知っているでしょ?私たちが引き取る事になりました」



そう言ったラヴの頭をアキは殴った。




「痛いです」

「20歳にして、いきなり3人の子持ちになるあたしの気持ちも考えてよ!!」



そんなアキをよそに、ラヴの膝に乗っているアシュリーとサミュエルは喧嘩をしている。




「どけ!!サミュエル」

「アシュリーがどいたらいい。僕が先に座ったんだから」



乱暴なアシュリーは足でサミュエルを蹴飛ばす。




「こら、アシュリーやめなさい」



ラヴがアシュリーをなでめながらサミュエルを撫でる姿を見たアキは、少し微笑んでいた。
< 69 / 596 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop