Fragile~思い出に変わるまで〜
その時の彼女の気持ちを考えると、胸が苦しくなる。


「でもさとみさん……

自分がショックを受けたはずなのに、俺に口止めしたんですよ……

今、見たことは誰にも言わないでって……

私が来たことも内緒にしてって……」


そ…んな……


「自分のことより部長を庇うさとみさんが痛々しくて見てられなくて……

俺……なんかあったら電話くださいって名刺渡したんです」


俺は愕然とした。


庇われてるとも知らずに、さとみを傷つけないようになんて、おこがましくも思っていた自分が情けない。


「それからしばらく連絡は全くなくて……

別れたことも知らなかったから、こっちから連絡しようにも連絡先、知らなかったんで……

会うこともなかったんですけど……

いつだったか部長の様子がおかしかった頃かな?
たまたま俺一人で得意先から戻る途中に、偶然……さとみさんに会ったんです」


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