脱力系彼氏
冴子は当分泣き崩れてしまって、あたしまで、涙が流れていた。冴子が泣いたのを初めて見て、胸が熱くなった。愛されていたんだ、って事を、実感した。
どうして、冴子の愛は、言葉にしなくともこんなにも伝わって来るのに、昇ちゃんの気持ちは分からないのだろう。
冴子は泣きやんだ後、トイレに行くと言って、出て行ってしまった。かなり気にはなるけれど、さすがに今日は、昇ちゃんの事は聞けない。聞ける訳がない。
今は、冴子の気持ちが嬉しくて、大切で。
気がつくと、もう夕方になっていて、他の患者のお見舞い客は、次第に帰っていく様子だった。
少し大きな話し声が廊下から聞こえ、その大きな声で、誰と誰が話しているのか、あたしにはすぐに分かってしまう。すぐに冴子とお母さんが世間話をしながら、病室に入って来た。あたしの荷物を取りに帰っていたお母さんと、廊下でたまたま会ったのだろう。
恥ずかしくも、2人のその大きな声がどこか温かくて、あたしは小さく笑ってしまった。
どうして、冴子の愛は、言葉にしなくともこんなにも伝わって来るのに、昇ちゃんの気持ちは分からないのだろう。
冴子は泣きやんだ後、トイレに行くと言って、出て行ってしまった。かなり気にはなるけれど、さすがに今日は、昇ちゃんの事は聞けない。聞ける訳がない。
今は、冴子の気持ちが嬉しくて、大切で。
気がつくと、もう夕方になっていて、他の患者のお見舞い客は、次第に帰っていく様子だった。
少し大きな話し声が廊下から聞こえ、その大きな声で、誰と誰が話しているのか、あたしにはすぐに分かってしまう。すぐに冴子とお母さんが世間話をしながら、病室に入って来た。あたしの荷物を取りに帰っていたお母さんと、廊下でたまたま会ったのだろう。
恥ずかしくも、2人のその大きな声がどこか温かくて、あたしは小さく笑ってしまった。