天を衝く槍
「えー…っと、ヨースケです」
ソンジュさんと話して、彼が何かの書類をヨースケさんに渡した後、ヨースケは言った。
「俺が色々教えるけんど……まぁ、分からんことあったら遠慮無しに聞き。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥って言うしな」
彼はそう言って笑った。
そして私がヨースケについて部屋を出た時、ヨースケさんが一人の無造作ヘアーの黒髪男を見つけ、呼んだ。
「お、ジューシロー!ちょい来てー」
彼が手を振った相手は、気だるそうにこちらに向かってくる。
「………………、何?」
ジューシローと呼ばれた人は細い目を伏せて息を吐き、面倒くさそうに聞いた。
彼の服は、何故か左肘から手首までが千切れて無くなっていた。
「この子、今日から俺らの部隊に入ってくれる子なんやて」
ヨースケさんは「朝、言いよった新人さん」とつけ足す。
私がジューシローを見ていると、彼の吸い込まれるような綺麗な黒い瞳とバッチリ目が合った。
「…あ……コウガです」
慌てて私は名乗る。
「………………」
けれども彼は私を一瞥して、ヨースケに目を移した。
まるで私のことなどどうでもいい、というように。
「ヒヨコに興味はないよ」
それが彼の薄い唇を割って出てきた言葉だった。
冷たい目をして彼がそう言うと、ヨースケは「またジューシローは…」と、苦笑いをした。
「…………………」
――……ヒヨコとは私のことなんだろうか
私の髪の色が金色だから、ヒヨコに見えるのだろうか。
いや、それはないか。
「まぁ、そう言わずに仲良うしたって」
ヨースケが去ろうとする彼の手を掴む。
「こっちはジューシロー。興味なさげな顔しとるけど、ものすっごい恥ずかしがり屋なだけやけんな。内心は興味津々やで」
「……………」
ジューシローは掴まれているのが不愉快なのか、眉にシワを寄せた。
……いや、違う。
きっとヨースケが言ったことに対して、睨んで否定しているんだ…!!!
じゃないとあんなドス黒いオーラ身に纏ってる理由になんないって。
でもヨースケは「あ、略してシロー。因みに俺の幼馴染」とつけ足して、これはいつものことだというように振る舞っていた。
……スゴイ。
私はそんなヨースケを尊敬した。