天を衝く槍
「だー、もー夫婦喧嘩は後にしといてー」
ヨースケが茶化すと赤毛の子は顔を真っ赤にさせた。
「ふっ!!?夫婦喧嘩ぁ!!?」
「お、流石ヨースケは俺らのこと分かってんじゃーん」
金髪はさっきまでの泣きっ面が嘘のような笑顔になり、赤毛の子は更に顔を赤くして思い切り金髪を殴った。
彼の「うッ」という、痛そうな声が聞こえた。
「金髪の方がジルで、赤毛の方がアルね」
ヨースケは彼らを紹介するが、紹介された二人は尚も言い争っている。
「…………………」
「…………………」
いや、言い争うって言うか、じゃれ合っているというか。
……楽しそうだ。
「見ての通り、年中ムダにあっついカップルやな」
ヨースケは「Aliceの名物や」と付け足して、ニヤリと笑った。
私達はそんな二人の邪魔をしないように、そうっとエレベーターに乗る。
ウィィンと上昇する音が聞こえて、下を見てみる。
「………………」
やっぱ怖い。
私が体をちぢこませている時、「アルはいっつもあんなんじゃないけね」と、ヨースケがフッと笑って言った。
「ジルだけあんなんやけね、安心し」
どうやら彼は、私がアルに恐怖を覚えているように見えたようだ。
私は笑顔で頷いた。
そんな私を気遣ってくれた言葉が、たまらなく嬉しかった。
というより、ジルだけあんな感じなんて……。
……あれが俗に言うツンデレというものなのだろうか。