Hurly-Burly3 【完】
食後には葡萄を出した。
この間、マミーにおすそ分けしてもらったのだ。
そして、家の紹介と探検ツアーをやってみた。
「ここはえっと何だっけ?
お兄ちゃんがホームシアターするからって
言ってたような・・・・」
あんまり入ったことのない部屋だった。
何を投影していたのだろうかと思って、
スイッチを入れて見ると。
『ひーちゃん、あの星に向かって飛ぶんだ!!』
えっええええー!?
幼き頃の兄ちゃんが腕を広げている映像。
「何、これ・・・」
いくつの時の写真だよ。
そして、ジャングルジムが映し出されると
兄ちゃんに呆れた幼き頃のあたしが映った。
『兄ちゃん、お星さまに飛んでどうするの?』
『透真、ひーちゃんが引いてる。』
ハッ、お兄ちゃんの声だ。
今と違って少し高い声色。
「なっ、お前の兄ちゃん昔からああだったのか?」
慶詩引き攣った顔をする。
「はははははっ」
乾いた笑いしか出ないのですが。
「ヒヨリン、可愛い!!」
幼い頃のあたしを見て目を輝かすナル君。
「この頃が人生のピークだったよ。」
「まだまだ人生謳歌してねぇ内に言うなよ。」
ユウヤ、でもこの時が多分ピークだった。
『お兄ちゃん、日和は大きくなる。
クマさんのように大きくなったら
兄ちゃんはこんなこと言わないよね?』
『どうだろうね。ひーちゃんはそのままでいいよ。
クマさんになろうとしなくていいからねっ。』
幼き頃のあたしはなんて現実を知らないんだろうか。
『でも、兄ちゃんが星に飛べって叫んでる。
兄ちゃんは日和に宇宙飛行士になって欲しいのかな?』
そして、妄想も忘れません。
『ひーちゃん、透真は無視すればいいよ。』
懐かしいな、これ撮ってるのは父さんかな。