淫らな月
彼は8時過ぎにホームにきた・・
もしかしたら行き違いになったかなって思ったけど
疲れた彼の横にまとわりつく女・・
この女の匂いだったのか・・
派手で綺麗といえば綺麗・・人工的に化粧によってだけど・・
彼女の飾らない美しさとは比べるまでもないレベルだけど・・
こんな女がいいの?
彼の腕に胸を擦り寄せている・・
「やめろよ・・」
手を振り払った彼・・
「何よ・・」少しムッとした女・・でもすぐ意地悪く笑った
「そんな態度とっていいの?
彼女を襲わすわよ・・今日・・一人で帰ったでしょ」
「お前・・」彼は驚いて女を見る・・
女は上目遣いで彼を見て可愛いと思っているのか
「お願い聞いてくれるよね・・もう一回してよ・・」
と言った・・
「わ・分かったよ」
彼はもう女の絡めた腕を払おうとはしなかった・・

一緒にホームに降りた彼らは駅のトイレに向かった・・
しばらくして女の喘ぎ声が聞こえた・・

なんて女だ・・彼の彼女に対する想いを利用するなんて・・
許せない・・
手痛い罰を与えてやる
私は時間のあるときは女の弱みを握るため後を付けることにした・・

彼女のことも心配だった・・
一人でいると今日みたいなことがある・・
彼女の通学の行き帰りを一緒にしよう・・
そして後であの女の後をつければいい

そんなことを思っていた何日かたって
朝のホーム・・
さっきから騒がしい・・女の子の声が・・
「かっこいい・・ハーフかな」とか聞こえる
まさか・・ホームの柱に隠れながら声の方を見た・・


彼だ・・あの・・



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