淫らな月
三年前の彼だ・・
あの一週間後彼が恋しくなった私はまたあの家に行った

鍵がかかったその家は留守だった・・
夜まで待っても誰も帰ってこなかった・・
何回か様子を見に行ったけどやはり留守だった

遺骨を持って帰ってきただけだったんだろう
本当にさよならになってしまった・・
彼の部屋の窓を見上げて泣きながら家に帰った・・

その彼が今・・同じ電車に乗っている
180センチはあるだろう・・モデルのようだ
また一段とかっこよくなっている・・
制服を着ている・・高校に通うということなのか・・
隣の車両に乗って気づかれないように観察する・・

彼女と同じ車両に乗った彼・・
しばらくしたらまた騒がしい・・
彼が男の手をあげている・・痴漢という言葉が聞こえる
彼が彼女を助けてあげたのか・・
知り合い?そんな感じはしなかったけど
一緒にホームに降り歩いていく・・
彼は一緒の高校に通うのか・・
帰りも一緒だった・・
その次の日の行き帰りも・・
二人は付き合うのかな
お似合いの二人・・
何か大事なものをなくしたような寂しさを感じた・・
私の恋は叶うはずのないもの・・
二人には幸せになって欲しい・・
でもあの大地と言われていた彼がかわいそう・・
自分を犠牲にまでして守った彼女なのに・・
あんなにかっこいい彼といたのでは彼女は彼を好きになるだろう
彼だってあんなに綺麗で性格もいい彼女・・
好きにならないわけがない・・

大地くんを早くあの女からは離さないと・・
彼はダメになる・・
あの女はなかなか尻尾を掴ませない
狐族かもしれない・・ずる賢く・・策略家の
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