やわらかな夜
車内から目の前のホテルを見あげた。

デカいホテルだと、俺は思った。

あかりの元カレと言うヤツは、一体どんなヤツなのだろう?

こんなデカいところを貸し切って、パーティーなんか開くくらいだから相当な金持なのかも知れない。

「聞かない方がいいな」

あかりは俺に好きと告白してくれた。

俺はあかりを好きになって、あかりに好きと告白した。

それだけで充分だ。

俺とあかりはつきあって、愛しあっている。

充分だ。

幸せだ。

コンコンとたたかれた窓ガラスに視線を向けると、マックの紙袋を持った理人さんがいた。
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