やわらかな夜
不思議に思いながら、俺は店のドアを開けた。

「いらっしゃい」

カウンターから若い男が俺に向かって声をかけてきた。

この男、誰かに似てるな。

たぶん芸能人かなんかだろうけど、俺は思い出すことができなかった。

俺はテーブル席の椅子に腰を下ろした。

ウエイターがやってきて、メニューを見せてきた。

俺は見せられたメニューを見ると、
「マティーニ」

「はい」

ウエイターがカウンターへと消えて行った。

「シュージ」

ウエイターと入れ違いに、聞き覚えのある声が現れた。
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