奴隷戦士
師匠たちに連れて行ってもらった場所はとても賑やかな場所だった。
見たことのない小さな赤い魚を捕る遊びがあって、いろんな魚がいるのだと初めて知ったし、こんなに人がいることも、息を吹くと針が飛ぶものも、顔を隠すものも、初めて知ったものが多かった。
花ちゃんはそれには目もくれず、颯爽と食べ物屋へと足を運び、歩きながら食べようとしていたので、慌てて止める。
きっと、食べ物を落としてしまうか、食べ物をすれ違う人にぶつけてしまうか、そんな気がした。
たくさん買い込んで、両手にいっぱい食べ物をもって、ぼくにも持たせて、お面を後頭部につけて、下駄をカランコロンと鳴らしながら歓天喜地な彼女を後ろから追いかける。
彼女がたどり着いたのは、それほど人が多くない、座れる場所がある広場だった。
「もっと綺麗に食べなよ…」
もっしゃもしゃと、口のまわりに食べ物を付けてもなお、気にせず幸せそうに食べている彼女に向けて言った。
「何でそんなに落胆してんの?紫朗も食べる?おいしいよ?」
はい、と花ちゃんは一口かじった小さなリンゴに飴をかけたものをぼくに笑顔で向ける。
少しびっくりさせてやろう、なんて思ってぼくは、それをかじった。
「ちょ、ええ!!?」
彼女はぼくがそんなことをするとは思ってもみなかったらしく、驚き、そして顔を赤く染めた。
「えっ!!?」
そんな花ちゃんを見て、何故かぼくも暑くなる。
「……………」
「……………」
そして二人は顔を赤らめたまま、黙ってしまった。
てっきり、彼女のことだから文句を言いながらバシバシぼくをたたくのだと思っていたけど。
こうも、しおらしい彼女を見ると調子狂ってしまう。