奴隷戦士
「なんでそんなに怒ってんの…」
「いい加減に仕返し、しないの!?」
驚くぼくに、花ちゃんは苛立ったように大きな声を出す。
「わたし知ってるんだからね!紫朗が彰太郎にいじめられてること!」
「え」
そんなことを改めて言われると、ぼくはとてつもなく悲しい人間なのだと思い知る。
「大丈夫だよ、彰太郎は味方になってくれたから」
ずっとぼくがいじめられてて、仕返しをしないことに激昂した彼女は昔、何かあったのだろうか。
「ほんと…?」
ジワリと涙をにじませる花ちゃんに、ぼくはうろたえるしかなかった。
ああああ、これって鷹介がやってくれたように抱きしめてもいいのかな。
いや、ここ師匠の家だし、誰かが見てるかもしれないし…、でも抱きしめたい。
「おーい、紐紫朗。花ぁ。蕎麦出来だぞーぃ……っと、おう。邪魔したな」
急に師匠がやってきて、この花ちゃんが泣いて、ぼくが狼狽えている状況を見てニヤニヤしながら帰って行ってしまった。
…師匠が黙認したということは。
もうどうとでもなってしまえ。