ビロードの口づけ 獣の森編


「誰からも求愛されなかった女はどうするの?」
「目当ての男がいるなら自分から誘います」
「それで断られたら? 男にも拒否権はあるんでしょう?」


 自分から誘ったのに、それを断られたら、女としては悲惨な気がする。
 するとミユはおもしろそうに笑った。


「拒否権はありますけど、女の誘いを断る男はまずいません。男には選択権がないので、自分がアピールした相手が必ずしも応じてくれるとは限らないでしょう? 確実に応じてくれる相手を断るなんてありえません」


 男は自分が養える範囲で複数の女に求愛するのが普通だという。
 拒否権は範囲を超えて女から誘われる、ジンのような男のためにあるのだという。

 ようするに拒否権を発動できるほどの男は、誘われた範囲内では選択権もあるという事だ。

 毎年同じ男を選ぶ女は稀で、女たちもより優秀な男を求めて品定めしているらしい。

 男は自分を選んだ女を養うが、人間の夫婦のように一緒に暮らすわけではないという。

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