ビロードの口づけ 獣の森編
朝食の後、ジンは忙しそうに執務室に行ってしまった。
クルミはミユに付き添われて自室に入る。
結月が終わるまで、クルミを城外に出さないように、ミユはお目付役に任じられたらしい。
女を巡って気が立っている獣の男たちの中を、人間の女がうろつくなど自殺行為だからだ。
ただでさえクルミは遠くからでも分かるほどに強い香りを放っている。
城内にも男はいるがジンの目があるし、万が一の時もミユがいれば大丈夫だという。
見た目は小柄でかわいい女の子にしか見えないが、何か男に対抗できる能力でも持っているのだろうか。
それとも獣姿に戻ると、大きくて怪力になるとか?
不思議に思って尋ねると、ミユは吹き出した。
「いやーん。奥様ってばおもしろすぎるぅ。私はそんな怪力大女じゃないですぅ」
「じゃあ、どうしてミユがいると襲われないの?」
「獣の男たちは獣の女を意図的に暴力で傷つける事は絶対にないんです」