ビロードの口づけ 獣の森編
「御意。そうしてやれ。獣王の印を持つ女に手を出すような奴なら、そのくらいは覚悟の上だろう。オレは死なない程度にしておく」
振り向く事もなく軽く手を振って、ザキは部屋を出て行った。
それを見送った後、ライも動きだす。
「私も城内の捜索に向かうとするよ」
「え……あの……」
当然のように肩を抱いて歩き出したライに、ミユは戸惑いながら彼を見上げて、ジンを振り返った。
ジンは舌打ちしてライの後を追う。
「オレも行く。ミユを口説く片手間に捜索されては、見つかるものも見つからない」
「君は私を誤解しているよ。彼女には現場検証を手伝ってもらいたいんだ」
「だったら誤解を招くようななれなれしさをなんとかしろ」
「普通にエスコートしてるつもりだけどねぇ」
肩に回した手の指先でミユの髪を弄びながら言われても説得力がない。