ビロードの口づけ 獣の森編


 ジンは諦めたようにひとつ息をついてライを促した。


「とにかくオレも行く」


 涙腺の緩いクルミの泣き顔が目に浮かぶ。
 今もどこかで泣いているのではないかと思うと、じっと報告を待っているだけなど耐えられない。

 そんな状態では他の仕事も手に付くわけがない。
 自分が城内にいるなら、クルミの事に限らず何かあった時にはすぐに対処できるはずだ。
 せめて城内の捜索くらいは自分もしたかった。

 ライの手をはぎ取りミユを解放したジンは、彼女を先に立たせてクルミの部屋へ案内させた。
 何か言いたげなライの視線は、この際無視する。

 部屋にたどり着いて扉を開けた瞬間、ライはうっとりとした表情で目を細めた。


「さすがにクルミ様の部屋だ。ここは酔いそうなほど濃厚だね」

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